紙を染める

2008年10月23日




私は布だけでなく、紙も染めることがあります。
襖や、壁紙に使う紙など、草木染で染めます。
しかし、私はそのような加工仕事は、断れない人の注文で無い限り
あまりやりませんが、

上写真のような額作品としては良くやります。
(布を着物の技法で額装品としてつくることもあります)


(作品のUP画像です)

上の写真は、手漉きのネパール紙を、ろうけつで、墨と天然染料で
染めたものです。

何やら妖しげな運動というか、痕跡というか、そういった
感じと、煤けたような地のニュアンスの作品ですが、私は手漉き
の紙、例えば和紙やこのようないろいろな繊維が入った紙には
あまり「いわゆる」絵のようなものを描く気になりません。

それはもちろん、私自身に水墨画や書道に高度な素養がないのも
理由ですが、普段から良く言うように、紙でもやはりその素材の
根底を何らかの手段でより表出させたい、と思ってしまうので
ついついこういう仕事をしてしまいます。

私の場合、例えば素晴らしい書を観た時に、まず感じるのは、
その滲みや墨色、筆の運動、痕跡、の美しさなのです。
それは、やはり和紙などの、手漉きの良い紙だと顕著です。
私は草書などを読めませんし、また楷書でも漢文など読み解くことは
出来ません。(解説付きで読みながら観ることもありますが)

それらの作品がまず一番に私に訴えてくるものは、墨と筆と紙の
織りなす美しさ、書として書かれた文字の運動です。
洋紙に書を書いても同じような美しさや妖艶さは出ることはない
と思います。

私は、その美しさを、自分として、より強調した形でやってみるわけです。
日本人の好きな、経年変化も含めた魅力に、自分の描きたい形態や色、風合い
をいろいろな技術を駆使してつくり出すわけです。

布は基本的に繊維に添って滲みが出ます。
しかし、紙は繊維が織物ほど規則性がないので、ランダムに滲みます。
その繊維が面に整形されるにあたっての違いが面白いのです。

布は、滲みはあまり美しくありません。
絞り染めや、板締めの技法で自然に出来た滲みは美しいですが、ただ
染料や顔料が滲んだ様は美しくありません。

なので、私は絹本に描かれた水墨画はあまり好みではなかったりします。
いくらドーサを引いて滲みを少なくしても、やはり布の規則的な繊維の
構造通りに滲むからです。

紙なら、紙という素材から、私の個性がやはり引き出されます。


素材によって、私は染め物ではなく、この仕事では最終的には
絵を描かされるわけです。



素材と対することは、やはり面白いと感じます。




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