− 仕事のことなど −

染織家・中野みどりさんの工房へ伺いました

2010年8月11日


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先日、染織家の中野みどりさんの工房へご注文いただいた帯を納品のため
伺いました。(妻とスタッフ凡も見学/勉強のために伺いました)

高名な作家さんのところへ訪れるのですから、妻と凡は緊張しておりました(笑)

閑静な住宅街にあるご自宅の一角に工房があります。

以前の工房へは伺ったことがあるのですが、お引っ越しされてからは
初めてです。

初めてお会いしたのは10年ぐらい前ですが、その後、作品をまとめて
拝見した時には本当に素晴らしい仕事をされる方だと感じ入りました。

「縦糸と緯糸の全てに眼が届き、機能していることによって一枚の布が
 出来上がっている」(ゆえに精密でありながら軽やかで暖かみがある)

「平面ではあるが布という立体作品」

という感じを受けました。



中野さんは人間国宝の宗広力三氏のもとで修行された方ですが、それをベースに
中野さんご自身のスタイルへ昇華され、それがとても高度な世界で成り立って
いることが良く観えるのです。

その織物としての完成度に毎回痛く感動する私は中野さんをいつも質問攻めに
するのですが(笑)当然ですが、それは偶然そうなっているのではなく全て意図
によるものです。
当たり前ですが「そうなるようにつくっている」わけです。
素材に依存するわけでもなく、経験に依存するわけでもなく、目の前の糸や
染材と常に直接対話し、常に着る方のことを考え制作されています。

それは説明されるまでもなく、人に押し付けるようなものとは対極な自然さで

「語りかけて来ます」。

しっかりした意図と技術と気配り、それによって舞い降りて来る即興、中野さんの
織物の大きな魅力の一つは織っている間に入れ込む即興的な糸や色の配分という
のもある、と私は生意気ながら思っています。

織って行く間に舞い降りて来る自然なひらめき(思いつきではない!)それが布に
新鮮さを与えています。それがなんとも言えず素晴らしいのです。

そして、その即興を自然に全く逸脱なく布に入れ込むことが出来る観察眼と技量
にも感心してしまうのです・・・



今、丁度染めをまとめてやっている時で、自分の作品の糸は機にかかって
ないとのことで、微妙な色に染め上げられた糸が工房に沢山かかっていました。
(中野さんは基本的に草木染で染色されます)

糸を染めて、その糸をぶら下げておいてそこから発想を得ることも多いそうです。
(染めた糸を風にあてて色を安定させるという目的もあります)

中野さんは以前は生徒さんに指導されていて多くのお弟子さんがいらっしゃいます。
今は限定的に受け入れているそうですが、その生徒さんが織っている機を拝見した時に、
あまりにその縦糸が美しく一本一本に目が届いているのに感動して現状、美大で織を
勉強中のスタッフ凡に

「おいおいこれ観ておけよ、中野さんが関わっているだけでこれだけ縦糸が美しい」

「うわー、こんな美しく整った縦糸みたことない・・」

(写真だと分かりにくいのが残念ですが・・)



なんて私は言っていて、その後、

「この縦糸、スゴいですね。なんてキレイなんだろう!」

と中野さんに言いましたら

「いやねえ、これ、私がかけたのよ!(笑)」

なんておっしゃって

「えー、なんだあ、それならそれで納得ですけど(笑)」

「でも、そういうのに気づいてくれて嬉しいわ!」

なんておっしゃっていました。

おいしいお寿司屋さんのカウンターから観えるその佇まいが美しい
ように、美しい布が産まれる途中の状態も、それはやはり美しい
んですね。例が悪いかもですが(笑)

それと、中野さんはこちらのちょっとした質問でも、いちいち見本や写真を
出して「とても具体的に丁寧に背景も交えて」説明して下さるのです。

なんというか、その職人としての良心というか、間違ったことを伝えたく
ないという責任感というか、毎度恐縮してしまいながら本当に有り難く思い
ます・・・ありがとうございます・・・。


中野さんパートナーの笹山 央氏は“かたちの会”という会を運営されていて、
制作する人と使う人とのつながりのための活動をされています。

中野さんの作品もそちらでご覧になれます。

是非リンク先をご覧いただきたく思います。

(もちろん、実物をご覧になれる機会があれば是非観ていただきたいです)

修業時代のこともあらためてお話を伺ったのですが、やはり特殊に優れた方は
修行中も最初から出来ちゃった人、というパターンなんだな、とあらためて
思いましたね〜。はい。
で、不思議とそういう人の方が作品に対して謙虚で丁寧・・・

修業時代のこと、独立してからのことなどとても興味深く、そのお話が
手仕事系の職業を目指す人のために文章に残っていると良いなと思うのですが
私にはそこまで書く力がありません、ぐうう・・(汗)

中野さんと笹山さんの普段の活動は、こちらの“かたちの会”でチェック出来ます!




“なか志まや” さんの取り合わせ

2010年7月28日


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最近縁あって“なか志まや” 中島寛治氏とお取り引きが始まり、刺激的な
やりとりをさせていただいております。

中島氏とはネットを通じて8年ぐらい前からお知り合いではあったのですが
直接お会いしてのやりとりが始まったのは、最近です。

中島氏はテレビCMやさまざまなメディアに斬新な取り合わせの和服を
提供することと美しい着付けをすることでお名前は存じておりました。

もちろん、普段扱われているものも独自の感覚で知られています。

そんな中島さんに取り合わせていただいた私の帯と中島さんの着物
の写真を送っていただいたのでご紹介です。

私の帯はこちら



こちらを上の写真のようなかなりアクの強い「紋織お召イカット」と
取り合わせたものです。

とても斬新で驚きました。

私自身ではこういう発想は出来ません。



ちょっと寄った写真です。

着物だけだとかなりアクが強く、鋭角的なのが、この間の多い柄の
帯では良い具合に角が取れ、柄本来の味わいが良く見えるように
変化しています。

私の帯の方は、たっぷり間を取った、そして素材感のある感じ、全体に
緩やかな感じが着物の鋭角的な感覚によって引き締まっています。

お互いに引き立てあい、新しい和服の感覚が産まれています。

普通はこうは行かないと思います。



こちらは同じ「紋織お召イカット」の白地です。
また別の味わいがあります。



こちらは「お召の熨斗目絵羽」に合わせたもの。
キリッとしていながらふんわりした繊細なイメージも同時にあります。

普通一般にはこのような感じや



このような感じの真綿紬などに合わせて、



「やっぱり合うよね!」といった感じで私も納得していたのですが

(こちらも中島氏の取り合わせですが)

また、私の自作同士で例えばこのような



素材感が強い着物と帯を合わせて響き合うものを想定していましたが

(着物=全面ロウによるムラ加工のもの)

上の、例えば「紋織お召イカット」との取り合わせのようなものは
染め屋の私には発想出来ませんでした。

こんな感じの「今までの和」を超えたシャープさとか
(逸脱ではなく新しい和のシャープさという意味)



染め屋の私のみでは出来ません。
これは、やはり着物を実際にお客さまへ提供し、着付けることをする人
さらにただそれだけではないもう一歩進んだ感覚と技術を持っている人
でなければ出来ないと思うところです。

例えるなら、中島氏は「不協和音の使い方が実にうまい人」といった
感じです。

ただ普通の3度の和音で調和、ではなく、そこに少し緊張感を与える。
それによって今まで気づかなかった着物と帯の関係性の魅力を表すことが
出来るわけです。

そして、その「麗しい緊張感」に
着る人、そして着る環境が関わります。

(人に緊張を強要するのではないが、普段使わない感覚を呼び覚ますような
 緊張感を産み出す)

その着物と帯にまつわる環境は動き出します。

中島氏は、そのような増幅をつくることが出来る方なんですね。

それと着物や帯の扱いがとても丁寧で感動しました。
商品を大切に扱われている方なんだなぁと・・・

これからの “なか志まや” 中島寛治氏との仕事が楽しみです!

上の着物と帯については “なか志まや” さんにお尋ね下さい。
この写真の他にも沢山取り合わせがあります。





平林隼人さんの個展に伺いました

2010年7月15日


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お世話になっている同業の平林隼人さんのAYUMI GALLERY さんでの個展に伺って
きました。

アユミギャラリーさんはとても雰囲気のある古い建築で素敵でした。



写真が悪くて申し訳ないのですが(汗)相変わらず幅広い技術と表現で多様な
作品をおつくりでした。

奥様もやられているので、奥様の作品もありました。
それはやはり違いがあります。
奥様が手がけたものは女性らしい柔らかさがあります。



こちらは着物の柄のUPです。(一番上の写真も)

これらの金彩の柄は全て筆で描いたものです。
現物は写真で観る柄の大きさよりも小さいです。

それも、一度置きだと薄いので金や顔料を三回ぐらい重ねるのだそうです。
ということは、柄のフチがボケやすいんですね。
完全に同じように重ねないとフチがカチッといかないからです。
しかし、ナイフで切ったかのようにカチッと行ってます。

布にこのようにするのは大変むづかしいことなのです。

さらに驚きなのが、布の裏面に全く金糊が(金粉を溶く糊)通ってないのです。
そして、厚置きなのに生地が柔らかい。

ここまで精緻にさらに完璧なのは金銀彩専門の方でも殆どいないのではない
でしょうか。私は観たことがありません。

(平林さんは金銀彩専門ではありません。いろいろなことをおやりです)

少なくとも私には絶対出来ません・・・



こちらはカッティングシートを使い、カッターで(市販のデザインカッター)
切り抜き、金や銀を擦り込んだものです。



まるで漆芸の「螺鈿」のようです。

スゴい・・・



平林さんからいろいろ技法の説明を受けるワタシ(背中を向けている方)
オヤジ二人が密談中という感じですね(笑)

このようなレベルの上書き(染まった布に顔料や金銀で文様を描いていく技法)
を達成するには、いろいろ特別な道具立て、材料の調合、コンディションの管理が
必要だそうです。(しかし道具そのものは特殊なものは使っていません)

流石に「この時代に生き残って来た職人」さんなんですね。
誰にも出来ない技術とセンスをつくりあげた人だけが残っているわけです。

ここまでの技術のものを拝見すると、なんとも爽やかな気分になれます。

ありがたや。

平林さんは古い着物に上絵を描いたりすることもしていらっしゃいますので
(その他、染め直しいろいろな加工)
ご興味のある方はこのブログのメールフォームからお問い合わせ下さい。

平林さんの連絡先をお教えいたします。




今年も恒例の柳染め授業

2010年6月8日


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今日は銀座の泰明小学校へ染物の授業のお手伝いをしに行きました。

これは毎年、銀座の泰明小学校の5年生が受けるもので

「銀座の柳の由来を知る、そして柳で染めてみる」

という特別授業です。

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KDCplanningの石崎氏がご来訪

2010年3月23日



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先日「きものビジネスコンサルタントの石崎功氏」がご来訪されました。

石崎氏とはTwitterで既に何度もやりとりさせていただいているので
なんとなくその人となりは存じておりましたが、実際にお会いすると
また違うもので、お互い熱く語り合ってしまいました。

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