− おはなし −

鉛の部屋

2008年8月25日




*鉛の部屋*

過去の世界に生きている人は
窓のない鉛の部屋に閉じ込められている
ようなものだ。

過去という卑小で快楽に満ちた部屋に。

そこにあるのは、漠然とした違和感と
快楽としての諦めと許し。

その人には動き出したくなるような
大きな不満はない。

その部屋にしか興味がないから。

窓の無い鉛の部屋に窓を付けることは
その部屋の住人にとって迷惑なこと。

なぜなら、その人にとっては
外の景色を見ることさえ苦痛だから。

住み慣れた部屋の空気が入れ替わることさえ
苦痛なのだ。

そして自分の吐いた息を吸いながら
快楽をむさぼる。



*OLIMPUS E-510/D SUMMILUX 1:1.4/25 ASPH*

苦難と成長

2008年8月13日




*苦難と成長*


「とても大きなもの」の全体像を把握するには

遠く離れた場所から見るしかない。

しかし、

遠くにいては、

その「とても大きなもの」に触れることは出来ない。

「とても大きなもの」の内部にいながらその全体像を
把握することが出来る人、

それは

過去から自由な人。
思い込みでものごとを観ない人。
自分の感情に流されない人。
激しい言葉のなかにある真意を聴く人。

そして

気負い込むことなしに全人格でそれに当たる人。

そのような人でなければ「とても大きなもの」の
内部にいながらその全体像を把握することは出来ない。

。。。。。。

激しい炎は

近くにいるとその熱で焼かれてしまう。

遠く離れていないと危険だ。

しかし、

その炎で焼き尽くされることを恐れない人は
その炎を理解する。

その炎は過去を焼き尽くし
その人を自由にする。

しかし、

その熱に耐えられない人は、

自分を縛る過去から自由になることは出来ない。

焼き尽くされることを恐れる人は、その炎を
理解することは出来ない。

自分の感情が都合良くとっておきたい過去を
持っている人は焼かれることを恐れる。

。。。。。。。。。。

激流に足を入れると

足をさらわれ、流されてしまう。

しかし、

激流を体感するには

激流に飛び込まなければならない。

激流に飛び込んで

もがきながらも、どうにか大海にたどり着くことが
出来れば、

その人はその激流を理解する。

自分の過去を洗い流すその激流を。

過去を洗い流されることを恐れる人は

ただ大海を遠くから眺めることしか出来ない。

。。。。。。。。。

過去や、思い込みや、自分の感情から自由な人は

汚泥に潜む宝石を一目で見抜き、拾い出すことが
出来る。

過去に生きる人は

目の前に宝石があることが分かっていても
自分が慣れ親しんだガラス玉を選択する。

そこに安心を求めて。


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*OLIMPUS E-510/D SUMMILUX 1:1.4/25 ASPH*


ボクにはキバがないんだ

2008年6月30日


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以前いたスタッフが描いたゾウの絵があまりに脱力系でかわいかった
ので、思いついて書いたお話(笑)

++++++++++

2007 2/01「ボクにはキバがないんだ」

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

ボクはアジア象のジョニー。

ボクにはオスのクセしてキバが無いんだ。

みんなそんなボクのことをカッコ良くないとか
イケてない、ってバカにするんだ。

でも、おばあちゃんは、そんなボクのことを
かわいい、って言ってくれる。

でも、お父さんとお母さんはなんとなくその話題は
避けてるね。
こんなボクにはお嫁さんが来ない、と思っているからさ・・・
でも、ボクは自分ではそんなにカッコワルイとは
思ってないんだ。



ホラ、結構カッコイイでしょ?
キバがなくて、なんかまるっこくてさ。

だって、キバなんていらないじゃん。
キバってケンカする時に相手をケガさせてしまうことだって
あるしね。

ボクはね、鼻の力が結構強いんだ。
だから、ケンカの時は鼻でやるんだ。
でも、相手が大きくて強そうな時はやっぱり逃げちゃうん

だけどね・・・。

ケンカはイケナイって、おばあちゃんも言ってるからね。
ボクもケンカはキライさ。

で、ボクには好きな娘がいるんだ。

え、見たい?ナイショだよ。(照れ)



ホラ、かわいいでしょ!

「マリア」って言う名前なんだ。へへ。

ボクたちアジア象は、オスはキバが出ているんだけど
メスは、キバが小さくて外からはあんまり見えないんだ。
でも、マリアは、ちょっとだけ、かわいいキバが見えるのさ。
それが、かわいくてさー!!へへっ!

マリアも、ボクにキバがない、っていうのを、かわいくて
ステキ、って言ってくれているんだ。へへ!

マリアとはいつも遊んでいるんだけど、ボクがマリアを好き
ってことは言えてない。
でも、マリアはボクの気持ちを分かってくれていると思う
んだけど・・・

でも、ある日、ショックなことを知ったんだ。
マリアは最近、他のオスと付き合っているらしいんだ。
それも、りっぱなキバがあるヤツさ!


コイツ!

ジェフって言う名前らしいんだ。
マリアったら、ボクにキバがないのがカワイイって言って
くれていたのに、やっぱりメスは強そうに見えるオスが好き
なのかな!?



コイツなんて、アタマばっかりデッカクて、体はヘンに痩せてるし
全然イケてないじゃん!

ボクの方がずっとカッコいいさ!

ボクの方のがあのジェフとかいうオスよりも、ずっとたくさん水だって
鼻で吸えるし、マリアが好きな場所だって沢山知ってる。

なのに、なのに、どうしてマリアはあんなダサイ、キバだけのオスと
付き合ってしまったんだろう?
ああ、おばあちゃん、ボクはずっとおばあちゃんの言うことを守って
来たよ。
本当におばあちゃんの言うことはいつも正しかった。

でも、今回ばかりは分からなくなっちゃったよ。
そう、ボクにはキバがない。
小さいのも、生えていないんだ。
ボクはきっとダメな象なんだ。
でも、ボクはそういう象なんだから、仕方ないよね。



本当は、コッソリ、木の枝をくわえてみて、ボクにキバがあったら
どう見えるかって、試してみたことがあったんだ。
恥ずかしいけどさ、これはナイショだよ。

池に映った枝のキバのある自分の姿を見た時、本当は、ちょっと
カッコいいかも、
と思っちゃった。
悔しいけどね。

でも、無いんだから、しょうがない。

ボクはマリアの幸せを願うよ。
でも、ジェフのことはキライさ。

ずっと、キライさ。
顔も観たくないよ。

それぐらいの気持ち持っていても、許してくれるよね!
おばあちゃん!

おばあちゃんは言ったさ。

「ほとんどのことはうまくいかないものだよ。でもそこで
 やさしくいられる人がステキな人だよ」

とね!

ボクがそうあれるかどうかは、自信がないけどね。
でも、マリアのことは今も好きだよ。


。。。。。。。。。。。。


おしまい